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「怜-Toki-」第1巻ネタバレ感想〜人生はみんなで積み上げるからおもしろい

怜-Toki-(1) (ビッグガンガンコミックス)

怜-Toki-(1) (ビッグガンガンコミックス)

 

咲-Saki-」スピンオフ「怜-Toki-」第1巻感想です。

大量のネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。

 

目次

 

はじめに

咲-Saki-」は様々な特殊能力を持った高校生の少女達が麻雀で戦う能力系美少女麻

雀漫画です。

咲-Saki-」の世界では老若男女問わず麻雀は人気があるという設定で、全国大会は

各TV局が生中継するほど人気があります。

麻雀をしたことがない、ルールも知らない、興味もないという人でもおそらく楽しん

で読める漫画です。

 「怜-Toki-」はその「咲-Saki-」のスピンオフである「咲-Saki- 阿知賀編 episode of

side-A」に初登場したキャラクター怜(ときと読みます)を主人公にした漫画です。

ツイッターのアイコンにしていたこともある大好きなキャラクターなのでスピンオフが

発表された時はテンションが上がったのを覚えています。

漫画はめきめき先生で非常に可愛らしい絵です。

めきめき - Wikipedia

ただ前述の「誰しも麻雀に自然に接する世界」ということだけ念頭に入れておけばこの

漫画だけ読んでも楽しめますので気になっている方は是非読んでみてください。

第1巻は全6局(全6話)で構成されているので上記の目次から第1局だけ感想を読んで、

興味が湧けばネタバレを避けるため第2局以降の感想を読まずに漫画を読み、その後感

想に戻るというようなことも可能ですので是非1人でも多くの方がこの漫画を読まれま

すことを祈っております。

またこの漫画に興味をもった方は「咲-Saki-」本編や咲-Saki- 阿知賀編 episode of

side-A」も手に取ってみてください。

咲-Saki-」ワールドにどっぷり浸れること間違い無しです。

 

それでは感想をどうぞ。

 

 

表紙

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西の牌が舞台である関西を表しています。

この後本編でもキーとなるシーンでは西の牌が度々描かれています。

初登場時は高校3年生でしたがこの漫画では小学5年生から物語は始まります。

また彼女の特殊能力は1巡先を見るという未来視ですが発現するのは高校2年生の頃、

倒れて入院した後です。

それまで何の能力もない怜がどのように物語を紡いでいくのか追いかけていきたいと思

います。

 

 

第1局[折衝]

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1ページ目で主題は彼女の成長物語だよということを表してますね。

今はまだ自分がどんな可能性を持っているのかもわからずただ暗闇の中じっと待つ時

期・・・

彼女の未来視が発現するのはまだまだずっと先の話。

眠っていることで今はまだ目覚めの時ではないことを表現しています。

それまでは「咲-Saki-」という数多の特殊能力を持つ少女達が登場する物語におい

て彼女は凡人ということ。

ただ「咲-Saki-」の中には末原恭子みたいに凡人を自覚してもなお諦めず上を目指す娘

もいるので能力開花前の怜が彼女と絡むのも見てみたいですね。

舞台は関西ですしひょっとしたら見られるかもしれませんし。

 

物語は小学5年生の新学期から始まります。

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特徴的な家を出るシーン。

後ろを向いていることで彼女のネガティブな気持ちを表していますね。

実は第1局では俯いてたり後ろ向きに描かれているコマが非常に多い。

笑顔もなし。

運動も勉強も苦手な怜。

怜は小5にしてすでに自分には何の価値もないと思っているんですね。

対してこの後、怜の人生においてなくてはならない存在となる竜華(りゅうかと読みま

す)は朗らかに描かれています。

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登校後、怜は面識のない竜華からなぜか強烈なアプローチを受けます。

全く理由がわからず戸惑う怜。

 

放課後竜華のストーキングが炸裂w

公園で仕方なく遊びに付き合う怜。

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綺麗なペンダントを竜華に重ねる怜。

でもこのペンダントには竜華の弱い部分も詰まってそうですけどね。

そのことを知ったら怜はどう思うのか・・・

ともかくこの時点ではおよそ釣り合わない自分をなぜそうまでして求めるのかわからな

い怜は理由を聞いてしまいます。

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文字でみるとなんとなくわかりそうな理由ではありますが風の音にかき消されて怜には

届きません。

 

竜華から友達になろうと提案されて一瞬期待した表情をした怜。

しかし竜華が提案した友達とは・・・

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  そして「お友達ごっこ」が始まります。

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呼び方を「竜華ちゃん」にすぐ変え、「大切な人」にはしないと宣言することであくま

で遊びに付き合うだけだよと意思表示。

せいぜいあなたの人気を利用させてもらいますといったところでしょうか。

第1局のタイトルである「折衝」は

ー有利に事を運ぶように、相手と駆け引きすることー

というような意味であることからもそうですかね。

「大切な人」にしたくないのは「失うのが怖い」からなのか・・・・・・

いい引きの第1局でした。

 

さて、第1局をさらりと読むと竜華が怜を引っ張っていく展開で今後進むように見えま

すが読み込むと実は竜華のほうが依存が強いんじゃないかとも感じました。

というのもこの小学校の席替えシステムですが、班長を立候補で選び、次に班長同士で

じゃんけんして勝った順に班に入れたい子を選ぶ、怜曰く残酷なシステムでして今時こ

んな選び方してたらモンスターペアレンツが怒鳴り込んできそうなんだけどw

で、人気者の竜華に1番目に選ばれるということで怜が注目される展開となっていま

すが、このシステムって班長に立候補すれば好きな子選べるんですよね。

つまり怜と同じ班になるために竜華は立候補していると考えられるわけです。

竜華なら自分が班長にならなければ誰かから1番に呼ばれるのはわかっているでしょう

から怜と確実に一緒の班になるには立候補するしかありませんからね。

それだけ特別な存在ということなんでしょう。

逆に怜は自ら班長に立候補すれば選ぶ立場に立てるので席替えで憂鬱になることもない

んですけど今はまだ自分から積極的には動こうとしませんね。

 

 

第2局[萌芽]

いびつな友達関係が始まりました。

「持つもの」である竜華から「持たざる」自分がなぜ過剰に求められるのか戸惑いつつ

も惹かれつつある怜ですが・・・

 

ある日の放課後公園で遊ぶことに。

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公園に積み木を持ってくるというのもアレだけど小5で積み木がお気に入りというのも

かなりの不思議ちゃんw

ただ積み木を人生に例える大変重要なシーンです。

なんといってもこのシーンで初めて怜は上を向きます。

高く積んでも崩れる時は一瞬。

それでも積むのを、人生を諦めたくない。

そんな彼女の本音が現れているいいシーンです。

 

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また積み木=人生をお互いの手で包むような描写によって竜華がこの先の怜の人生にお

いてなくてはならない人物になることを示唆していますね。

 

公園で遊んだ後は竜華のおばあちゃん家へ。

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育ちの良さがうかがえるシーン。

ひょっとしたら怜の両親はかなり優秀な人なのかも知れません。

その分小さい頃からプレッシャーを感じて自分は何もないと思うようになったのかも。

竜華も怜と同じく両親が忙しいらしくおばあちゃん子。

父親の描写がないので死別したとか?

怜と似た妹を同時に亡くしてしまったんだろうか・・・

 

夕ご飯をご馳走になった後麻雀をすることに。

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ここで積み木=人生=麻雀と繋がる。

彼女にとって麻雀が今後の人生に強く関わってくるとのメタファー。

それにしてもめちゃくちゃ強いおばあちゃん。

この孫にしてこのおばあちゃんありw

竜華の大部分はおばあちゃんの影響で出来ているんでしょうね。

 

ボコボコにされ諦めかけた怜におばあちゃんは言います。

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このおばあちゃんのセリフは怜の人生に深い影響を与えます。

この後自分の人生を空っぽの点棒に例え、諦めなければ次に繋がると思えるようになる

んです。

能力に目覚めるまで腐らず麻雀を続けられたのもこの一言があったからなのかもしれま

せんね。

 

そして待望の初上がり。

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初めて見せたとも言える笑顔。

彼女にとってこの上がりが今後の人生を明るいものに変えるという暗喩ですかね。

またブラウスの襟とスカートの飾りが四つ葉のクローバーというのもなかなか。

 

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おばあちゃんの複雑な表情から竜華がわざと怜に華を持たせたとわかります。

でもこの心配は怜ではなく実は竜華に向けられてるんですよね。

 

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怜が帰り道で前をしっかり向いているのが印象的です。

この日上がれたことが確実に彼女の何かを変えたと伺えるいいコマです。

それと実は足元も四つ葉のクローバーで合わせてました。

オシャレさんw

 

すっかり麻雀にハマった怜ですがそんな彼女に第1局から伏線として登場していた葉子

ちゃんが絡んできます。

竜華と仲の良かった彼女は竜華が怜ばかり相手にすることが面白くない。

竜華にふさわしくないと言われた怜はその通りだと認めつつもー空っぽだけど諦めな

いーとおばあちゃんの言葉を思い出し、どっちが竜華にふさわしいか麻雀で勝負を決め

ようと提案して第2局引き。

あの上がりが後ろ向きだった怜に自信をつけたようです。

 

第2局はこの作品の核となるであろうシーンがたくさんある大変いい構成でした。

咲-Saki-」本編を知らなくても2人の少女の成長物語として十分楽しめる作品になって

いるんじゃないかなと思います。

 

 

第3局[膝枕]

麻雀勝負ですが竜華との友達権を賭けることになり、そんなことは許容できないと竜華

は反対しますが自身をつけた怜は譲りません。

結局竜華も阻止するために参加することに。

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怜を失うのではないかと不安をぬぐえない竜華。

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第1局の時に感じたように竜華の方が依存が強いと思わせるシーン。

 

何はともあれ特訓開始。

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きっちりツケが竜華に返ってきたようです。

完全に調子に乗らせてしまいましたw

おばあちゃんの心配が当たったようですね。

ただ特訓は頑張っているようです。

これまで怜がこれほど何かに打ち込んだことってあったんでしょうか。

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ウルトラ可愛い特訓中の1コマw

まるでピアノの発表会のようなドレスで特訓とかどこのお嬢様でしょうかw

 

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怜が自主的になったんだからあの上がりはやはり意味があったんですよね。

 

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第3局はこのシーンのためにあったとも言える初めての膝枕w

竜華からというのが意外といえば意外ですが依存の強さの表れでもありますね。

 

そして麻雀勝負が始まります。

 

 

第4局[圧力]

さあ麻雀勝負が始まりました。

葉子ちゃんいきなりのダブルリーチ!!

縮こまってしまう怜を引っ張るのは竜華。

人生も手探り。

怖がらずに行けばいいと・・・

 

その後テンパイするものの捨て牌が決まりません。

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ドラを捨てての放銃。

ここだけ読むとこの後未来視に目覚める伏線のようにも取れますが・・・

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回想での竜華のこのセリフからあくまで大事なのは未来が見えることではないん

でしょう。

恐らくこの後能力に目覚めるまで凡人なりに努力したことが未来視をより有益なものに

するんじゃないかな。

未来だけ見えてもダメなんだよ。

運は自ら手繰り寄せるんだよと。

そういえば「咲-Saki-」本編でも牌が答えるという表現があったと思います。

 

すっかり縮こまってしまった怜を助けたい竜華ですがおばあちゃんの言葉を思い出し、

大切な怜を傷つけるのではないかと動けません。

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そんな中どんどん点差をつけられるも竜華のことをふと考え思わず笑ってしまう怜。

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まだまだ諦めません!

 

 

第5局[辛抱]

葉子ちゃんとの差がどんどん広がり焦る中ふと冷静になる怜。

 

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ここでは点数を積み木=人生と対比。

人生は平坦ではなく山あり谷あり。

さっきあった点数が次はもうないかもしれない。

油断大敵、しかし空っぽでも諦める必要はないと怜は知っています。

 

そして・・・

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人生は1人じゃないんだよ。

いろんな人との関わりで出来ていくんだよ。

思い通りにばっかりいかないけどそれが楽しいんだよと。

そのことに気づいた怜はもう俯いてはいません。

 

そうは言っても全く上がることの出来ない怜は竜華の家で上がれた時とどう違うのかと

思案します。

答えはずばり竜華の助けがないことなんですが・・・

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ここで第1局冒頭へと繋がりますがしっかり目を開けているのが対象的ですね。

初花開花の時までどれだけ待とうとも自分だけの力で、もう竜華の力は借りずに・・・

未来視の能力を思わせる時計の出現がその気持ちに応えています。

 

この後逆転の一手をテンパイしての第5局引き。

 

 

第6局[友達]

勝負が終わったかのように思わせる導入ですが実は怜の白昼夢でした。

能力の一旦が垣間見えたのか、それとも・・・

と、同時に自信のなかった怜からはもう卒業ということなんでしょうね。

自然と葉子ちゃんを呼び捨てにしていることに気づきませんし。

ともかく第6局の百合展開はいいですね。

さすが天然百合ジゴロ怜ちゃんw

今後が楽しみです。

百合好きは是非読んでみてください。

 

その葉子ちゃんが果敢に怜の清一に危険牌を切って勝負を仕掛けます。

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怜の役に立っていないと落ち込んでいる自分と違い正々堂々勝負を挑む葉子ちゃん

に竜華は何を思うのか・・・

葉子ちゃんが自分より先に呼び捨てにされたことでショックを受けてましたし、今後も

百合三角関係的なのを期待してますw

葉子ちゃん、CLAMP先生っぽいキャラで可愛く、どこか憎めないんですよねw

 

そしてついに逆転の一手を上がることができた怜。

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満面の笑顔。

第1局とは別人のようです。

麻雀部部長も感心するほど辛抱強く諦めない心は今後彼女の最大の武器になるんで

しょうね。

 

その後怜が楽しむことばかり考え遠慮していた竜華も怜の言葉で自分が楽しむための麻

雀をします。

竜華自身も楽しむことで初めてお互い対等の立場にたちました。

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まるで大切だった人と怜を重ねるかのようにペンダントを握ります。

それは怜が着実に「大切な人」へと近づいているようでもあります。

 

勝負は竜華の逆転勝ちで幕を下ろします。

結果誰も友達をやめる必要のない展開に・・・

さらに怜にも新しい友達が出来ました。

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物語当初と違い自ら積極的に動くことで何かが変わるんだと思えるようになった怜。

ずいぶん成長しました。

しかし竜華が怜に合わせて自分を抑えていることに耐えられなくなった怜は自分の方が

竜華のいるところに上っていきたい、本当の友達に、竜華の「大切な人」になりたい

と思うようになります。

そして偽物の「お友達」をやめようと切り出すのです。

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非常に気になる引きで第1巻は終わります。

今後怜の方が竜華を引っ張っていくような展開になりそうな終わり方でもありますね。

自信をつけ、竜華にふさわしい人間になろうとする怜に対して竜華はどうするのか。

今後の展開が大変気になります。

 

 

おまけ

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第5局のこのコマも気になりますね〜w

アイツらってひょっとしてセーラと洋榎だったりして。

30円貸し借りする仲だしw

 

 

ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。